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【66日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜-4」イルカ座

100日投稿

100日曼荼羅アート 66日目-イルカ


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
銀河鉄道の夜
いじめられっこのジョバンニ、その親友のカムパネルラが、銀河鉄道に乗って様々な人と会ったり、冒険をするお話。その列車のいきさきは……?

【66日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜」イルカ座

草原

まめぴよは、再び草原で目を覚ました。
このページでも列車の中ではありませんでした。

まめぴよ「どうしよう、やっぱり、列車に戻れなくなっちゃってる。」

クジャクの群れも、あのネコの姿も、見当たりません。
けれども、また近くに光る三角の骨組みが見えました。

光る三角は前のページと、すこし違うようにも見えましたが、
まめぴよは、そちらへ行ってみることにしました。

走り去る列車

光る三角の場所には、誰もいませんでした。
その近くには、前のページと同じように線路がありました。

そしてまた、列車の音が近づいてきて、
ゆっくりと走り去りました。

まめぴよは、再び列車の姿を見送りました。
まめぴよ「あの列車は、どこへ向かっていたんだっけ……。」

天の川のイルカ

 キュキュキュキュキュ・・・・

どこからともなく、鳴き声が近づいてきました。

まめぴよ「なんだろう?イルカの鳴き声みたいだけれど……?」

鳴き声のするほうへ行ってみると、ぼんやりと輝く天の川がありました。
ここの天の川は、浅瀬は無く、流れも少し早くて、深そうな川でした。

たくさんの光るイルカが川の流れに逆らって、
ジャンプをしたり、波しぶきを立てたりして遊んでいます。
まめぴよ「光るイルカさんたちだ……!」

彼らは、まめぴよに気がつくと、まめぴよの近くに寄ってきました。

「おやおや?こんなところに、黄色いことりさん!」
「こんなところで何をしてるの?」
「どこからきたの?」
「いっしょに遊ばない?」
「どうしてきみは光っていないの?」

イルカたちは口々に話しかけてきます。

まめぴよ「えぇと……。」
まめぴよは、たくさんのイルカに話しかけられて、どうしていいか分からなくなりました。

そこへ、体のひとまわりほど大きなイルカが前に出てきました。
大きなイルカ「こらこら、一度に話しかけちゃいけないよ、ことりさんが困っているじゃないか。」

イルカのラージ

ラージ「はじめまして、私はラージ。困らせてすまないね、みんなキミに興味深々なんだ。」
まめぴよ「はじめまして、まめぴよといいます。」

ラージ「そうか、まめぴよ。キミは、どこからきたんだい?」
まめぴよ「本の外から、来ました。」
ラージ「本の外からの旅人が、列車に乗っていないとは、どういうことだ?迷子かい?」
まめぴよ「迷子……みたいです。列車から降りてしまったまま、ページを進んでいて。」

ラージは、フムフムとうなずいて、キュキュキュっと鳴き
腕を組んでうーんと考え込みました。
ラージ「どうしてこうなったか分からないが、キミをこのまま放っておくわけにはいかないな。」

ラージは、ザブンと、川岸に近寄ると言いました。
ラージ「まめぴよ、わたしの背中に乗りなさい。この天の川を登れば、次の停車場にたどり着ける。私たちの泳ぐ速さなら、あっという間にさっきの列車を追い抜いて、キミは次の停車場から列車に戻れよう。」
まめぴよ「そんなことができるの?」
ラージ「わたしたちは、イルカ座。たてごとの名手アリオンを救ったイルカの群れだよ。そのくらい、たやすいことさ。」

まめぴよ「うん。どうもありがとう。」

イルカの背中

まめぴよは、ラージの背中に飛び乗りました。
ラージのぼんやりと光る背中はあたたかく、やさしさがにじみ出ているようでした。

「わぁ!すごいすごい!」
「列車を追い抜くってよ!」
「めちゃくちゃ楽しいね!」
「ひさしぶりに本気出しちゃうね!」

イルカたちは、楽しそうに口々に言いました。

ラージ「さぁ、おまえたち、上流へ向かうぞ!」
他のイルカたちは、ラージの周りを囲み、泳ぎ始めました。
おかげで、ラージとまめぴよのまわりの流れが穏やかとなりました。
早い流れに逆らって泳ぐのに、波も立たずスイスイと、川をのぼっていくのでした。

列車の向かう場所

すごい速さで川をのぼるイルカの群れは、
あっというまに列車に追いつき、追い越して、川を上り続けました。

まめぴよ「ねぇ、ラージ、この本のこと聞いてもいい?」
ラージ「なんだい?知っていることなら答えるよ。」
まめぴよ「あの列車は、どこに向かって走っているんだろう?」
ラージ「さぁ、どこへ向かっているのかな。ずっと最後まで列車を追ったことがないから分からないけれど。終着点がなく、どこまでも走ると聞いたことがあるよ。切符の降り場が決まっていなければ、ずっと乗り続けることになるんだとか。」
まめぴよ「どこまでも?切符はどこで手に入るんだろう。持たずに乗っていたんだけど……。」
ラージ「さぁ、詳しくは分からないんだが……。”本当の幸い”の答えが、あの列車の切符の降り場になっていると聞いたことがある。」

まめぴよ「ほんとうの、さいわい……?」

次の停車場

話をしている間に、次の停車場の近くにたどり着きました。

ラージ「さぁ、私たちが運べるはここまでだ。あの丘の上にある、ぼんやり明るい場所が、つぎの停車場だよ。」
まめぴよ「ラージも、みんなも、ほんとうにどうもありがとう。それじゃあ行くね!」

ラージ「まめぴよ、もうひとつ伝えておこう。」
ラージは、まめぴよを呼び止めました。

ラージ「きみなら、本の旅を最後までしっかり歩める。それを忘れず進みなさい。」
まめぴよ「うん!ありがとう!みんな、さようなら!」
まめぴよは手をふると、急いで背を向け丘を登りはじめました。
これ以上、イルカたちのあたたかさにふれていると、涙が出てきてしまいそうだったのです。

イルカたちは、にぎやかに鳴き声を上げ、見送ってくれていました。

次の停車場に着くと、ベンチのまんなかに、新しい切り絵が置いてありました。

(切り絵はTwitter Instagramにて、今夜UP予定)

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