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【65日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜-3」クジャク座

100日投稿

100日曼荼羅アート 65日目-クジャク


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
銀河鉄道の夜
いじめられっこのジョバンニ、その親友のカムパネルラが、銀河鉄道に乗って様々な人と会ったり、冒険をするお話。その列車のいきさきは……?

【65日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜」クジャク座

ススキの草原

目を覚ますと、そこは、列車の中ではなく、かがやくススキの草原でした。
まめぴよは起き上がると、あたりを見回しました。

ときおり、何かの鳴き声が響きわたります。
すこし先のほうに、大きな三角の骨組みをした、光るものがありました。

まめぴよは、その光る三角をめざし、ススキの草原を歩き出しました。
何かの鳴き声は、そのあたりから聞こえてくる気もします。

光る三角

光る三角の周りには、たくさんのクジャクたちがいました。
そのクジャクたちは、自分たちの羽から光を出しているようで、
暗がりの中、ぼんやりと光っているのでした。
ときおり光の色が、走るように輝いて見えました。

まめぴよ「光るクジャクだ……。」

「こんばんは。」

三角の上から声がしました。
上を見上げると、ネコの女の子がひとり座っていました。

ネコ「めずらしい、こんなところに訪問者だなんて。何しに来たの?」
まめぴよ「列車に乗っていたんだけど、目が覚めたら、この近くに来ちゃったものだから……。」
ネコ「もしかして、本の外からの旅人?この本に来て、列車に乗ってないだなんて、そんなに列車に乗っていたくなかったの?」
ネコはクスクスと笑いました。

まめぴよは、確かに、あの場からはやく逃げたかったけど……と思いました。

光るクジャク

まめぴよ「あなたは、この本の世界のひと、なんだよね?」
ネコ「そうよ。わたし、ここで光るクジャクの世話をしているの。」
まめぴよ「あの。。。前のページで、この本は列車に乗ったままじゃ最後のページまでいけないって、聞いたんだけど。どういう意味か、知ってる……?」
ネコ「知らないよ、そんなこと。私に、関係ないし。」
まめぴよ「そう、だよね。ありがとう。」

ネコ「あ、もうすぐ列車が通るよ。」
ネコの指さす方向を見ると、列車が煙を吐きながら迫ってくるのが見えました。
ネコ「そこの線路、通るよ。」
よく見ると、光る三角のそばに、線路がありました。

音がだんだんと近づいてきて、ゆっくりと、列車が過ぎていきます。
前の車両のほうに、この本の主役のジョバンニとカムパネルラらしき男の子が二人見えました。

まめぴよ「あのふたりに会いに行かないと……。」

そして、後ろの車両のほうには、前のページで会った、カギの束を持つリスも見えました。
リスは、まめぴよに気がつくと、窓越しに何かを叫んでいました。
まめぴよには、列車の走る音で、何も聞き取ることができませんでした。

まめぴよ「カギ、渡さなくてよかった。。。」


ネコ「行っちゃったね。」
まめぴよ「うん。」
ネコ「旅人なのに、どうして列車から降りたの?」
まめぴよ「よくわからないけど、恐い人がいて列車から逃げたくなっちゃった、……からなのかな。」
ネコ「ふぅん。この本は古いからね。いろんな人がいるよ。」
まめぴよ「そういうものなの?」
ネコ「古い本は、本の外からの旅人が訪れる回数も増えるからね。本の世界の住人も、本の外からの旅人との交流で、変わってくこともあるものよ。」
まめぴよ「そうなんだね。」
まめぴよは、遠ざかっていく列車を見つめました。

ネコ「あんたもさ、三角の上、のぼっておいでよ。」
まめぴよ「うん。」
まめぴよも、光る三角によじ登りました。
まめぴよ「きれいな景色だね。」
ネコ「ほら、上から見るとさ、クジャクたちの羽が光る花畑みたいでしょ。」
まめぴよ「上から見ると、また違う景色だね。」

ネコ「よかったね。あんたさ、列車に乗ったままじゃないじゃん。」
まめぴよ「……え?」
ネコ「列車に乗ったままじゃ最後のページまでいけないって、言われたんでしょ。」
まめぴよ「あ……。」

ネコ「あんた、おもしろいね。」
ネコは、またクスクスと笑いました。


まめぴよ「でも、列車に戻らないと、カギの必要な箱も見つけられないし、最後のページにたどり着けないだろうし、どうしたらいいんだろう。」
ネコ「自分で列車から降りる選択したってことなんだから、それでいいってことだよ。自信もちな。」
まめぴよ「……そう、なのかな。」

ネコ「ガチガチに考えてないでさ、もっと、肩の力抜いていなよ。きっと、列車に戻る方法もあるって。」
まめぴよ「うん。」

ネコ「時にはさ、こんなふうに、クジャクの光を眺める時間も必要ってこと。」
まめぴよ「うん。ありがとう。」

そこへ、一羽のクジャクが三角の上へふわりと飛んできました。
口には、切り絵をくわえています。

ネコ「出発だね。自信もって進みなよ!」
ネコは、ニッと笑いました。
まめぴよ「うん、どうもありがとう。」
まめぴよも、ニッと笑い返しました。

そして、まめぴよは、クジャクから切り絵を受け取ると、新しいページに貼りつけました。

(切り絵はTwitter Instagramにて、今夜UP予定)

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