100日曼荼羅アート 69日目-地図
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新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【銀河鉄道の夜】
いじめられっこのジョバンニ、その親友のカムパネルラが、銀河鉄道に乗って様々な人と会ったり、冒険をするお話。その列車のいきさきは……?
【69日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜-7」カムパネルラ
カムパネルラ
目を覚ますと、まめぴよは列車の席に座っていて、
目の前には人間の少年が座っていました。
少年「あ、目が覚めた?」
まめぴよは、コクリとうなずきました。
少年「きみ、突然目の前に現れて、眠っていたってことは、本の外からの旅人だよね?」
まめぴよ「うん。はじめまして、まめぴよです。」
少年「はじめまして、まめぴよ。僕はカムパネルラ。」
まめぴよ「カムパネルラ……!」
カムパネルラ「旅人なら本を読んだことあるってことだから、僕のこと、知っているよね。」
まめぴよ「うん。」
スーツケース
カムパネルラ「ジョバンニは、いま食堂車に行ってるんだ。もうすぐ戻ってくると思うんだけど……。」
まめぴよ「ジョバンニとは、前のページで、会ってきたよ!」
カムパネルラ「そうか、会えたんだね!」
まめぴよ「うん、リスの男から助けてもらったんだ。」
カムパネルラ「あの男に狙われてたのか。よくカギを渡さずにこのページまでこれたね。よかった。」
カムパネルラは優しく笑いました。
カムパネルラ「上のあみだな、見てごらん。」
まめぴよは、席の上にのぼって、あみだなの上をのぞきこみました。
あみだなの上には、夜空のような深い紺色の皮で出来たレトロなスーツケースが置いてありました。
カムパネルラ「きみの箱だと思うよ。」
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まめぴよは、スーツケースをあみだなから下ろすと、ひざの上に乗せました。
カギがかかっていたので、首から下げている黒いカギを使ってみることにしました。
カギを入れてひねると、パカッと、音を立ててスーツケースが開き
中からは、大きめの黒い本が出てきました。
まめぴよ「また、黒い絵本……?」
カムパネルラ「へぇ、箱から本が。その本、何の本だい?」
まめぴよ「うん……。ページが開かないから、中身が分からないんだけど。。。」
カムパネルラ「へぇ、開かない……?分かりにくいものが、入っていることもあるんだね。」
まめぴよ「他の旅人たちは、分かりやすいものが入っていたの?」
カムパネルラ「そうだね。。。たいてい、その場で自分を見つめなおせたり、自分の忘れた記憶だったり、分かりやすそうなものだったな。でも、それも、きみの心にに大切なものなんだろう?」
まめぴよ「うん。たぶん。。。」
黒曜石の地図
まめぴよ「それが、黒曜石の地図?すごい、きれいだね。」
カムパネルラ「あぁ、銀河ステーションでもらったものだよ。もうすぐ、僕の降りる駅だ。」
彼は、黒曜石の地図の上をゆびさしました。
そうです。運命の決まっているカムパネルラには、降りる駅が決まっているのです。
そのために、この列車に乗って移動しているのですから。
まめぴよは、『銀河鉄道の夜』のお話を思い出して、ぎゅぅぅっと胸がしめつけられる気持ちになりました。
まめぴよ「列車を降りないで、ジョバンニと、家へ帰ることはできないの?」
カムパネルラ「それはできないよ。決まっていることだから。悲しくはあるけれど、僕はね、”本当に良いこと”をしたわけだから、しあわせなんだよ。」
カムパネルラは、友人の命のために自分の命を犠牲にしました。
そして、さそり座の停車場のサソリは、自分の命をみんなのために使うことを願いました。
本当に良いこと。本当の幸せ。
まめぴよは、何が本当の良いことで、何が本当の幸せであるのか、と、考えましたが、
暗いところへ潜っていくような、つかもうとすると煙のように消えてしまうような、
考えれば考えるほど、答えがわからなくなるのでした。
お願い
まめぴよ「ねぇ、カムパネルラ、お願いがあるの。」
カムパネルラ「なんだい?」
まめぴよ「ジョバンニには、ちゃんと、さよならを言ってから列車を降りてね。黙っていなくなっちゃ、だめだよ。」
カムパネルラは、おどろいた顔したあと、窓の外へ目をやりました。
カムパネルラ「……そうだね、考えておくよ。」
その眼には、涙が溢れそうになっているように見えました。
カムパネルラ「そうだ、まめぴよ。このページの切り絵だよ。」
カムパネルラは、切り絵を差し出しました。
まめぴよは、コクリとうなずき、静かに切り絵を受け取りました。
カムパネルラ「なんだよ、きみが泣くことないじゃないの。」
カムパネルラは、また優しく笑ったのでした。
カムパネルラ「きみは、きみの”本当の幸せ”、きっと見つけるんだよ。」
まめぴよ「うん。わかった。」
カムパネルラは、まめぴよの頭の毛をくしゅくしゅっと、なでました。
カムパネルラ「さぁ、切り絵を貼って。」
まめぴよ「うん、ありがとう。さようなら。」