Youtubeチャンネル
ナナアート nana-art
スポンサーリンク

【67日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜-5」さそり座

100日投稿

100日曼荼羅アート 67日目-さそり


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
銀河鉄道の夜
いじめられっこのジョバンニ、その親友のカムパネルラが、銀河鉄道に乗って様々な人と会ったり、冒険をするお話。その列車のいきさきは……?

【67日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜」さそり座

さそりの停車場

目を覚ますとそこは、
まめぴよが、前のページで、切り絵を貼った停車場のベンチでした。

ハッと、立ち上がり、線路のむこうを見つめました。
まめぴよ「まさか、寝ている間に、列車行ってしまったかな??」

「列車は、まだ来てはいませんよ。あの列車はゆっくり走る……もう少し、したら到着します。」

すこし離れた背後から、声がしました。
まめぴよ「だれ??」
振り返ると、そこには赤く輝く大きなサソリが、たたずんでいたのでした。

サソリ

まめぴよは、たいへん驚きました。
何しろ、自分の何倍もあるサソリを見たことがなかったからです。
サソリ「安心なさい、わたくしはあなたを襲ったりしないんだから。」
まめぴよ「……おどろいちゃって、ごめんなさい。」
サソリは、カチカチとハサミを鳴らしました。

まめぴよ「ここは、さそり座の停車場なの?」
サソリ「……その通り。赤く燃え輝く私の停車場。」

サソリは、体の中に赤い灯をともし、メラメラと輝いていました。
とても美しく、しかし、どこか悲しく見えました。

サソリ「列車が到着するまで、私の話し相手になってくださいませ。」
まめぴよは、うなずきました。

サソリの話

サソリは、むかしむかしに、
バルドラの野原で小さな虫など殺して食べて生きていました。

ところがある日、イタチに見つかって、
食べられそうになったので、必死に逃げ回ったといいます。
もうすこしで捕まりそうになった時、
足を滑らせて、井戸に落ちてしまいました。
サソリはその井戸から這い上がれず、溺れはじめるのです。

溺れはじめたサソリは、思いました。
どうせ命を落とすのであれば
どうして、イタチに命をくれてやらなかったろう、と。

そして、神さまに祈りました。
「どうか、この次は、わたくしの体を、みなのしあわせのためにお使いください。」

サソリをあわれに思った神さまは、サソリの体に灯をともし
闇を照らすために使うこととしたのです。

サソリの灯

まめぴよ「だから、あなたの体には、灯がともっているんですね。」

サソリ「たくさんの命をうばって生きてきたにもかかわらず、みずからの命がうばわれそうになったら、必死で逃げたまわったのです。」
サソリはしくしくと泣きはじめました。
まめぴよ「いのちを狙われたら逃げるって、それは、何も間違いじゃないよ!だって、そうでしょう?生きているんだもの。」
サソリは顔をあげました。
サソリ「……わたくしに、そんな言葉をかけるなんて。あなたは、変わった子ですね。」

サソリは、空を見上げ言いました。
サソリ「自分の命を誰かのために使う、それが、わたくしの”本当の幸い”なのです。」 

まめぴよ「あなたの、ほんとうの、さいわい……。」
まめぴよは、”本当の幸い”とは、なんだろう?と思いました。

そのサソリの言葉を、なんども頭の中にくりかえしましたが、
まめぴよは、サソリに何と返してよいのか分かりませんでした。

しかし、まめぴよが何も言えなくても、サソリはよかったのです。
ただただ、自分の話を聞いてもらえるだけで、サソリは、うれしかったのですから。

列車の音

サソリ「あぁ、そろそろですね。」
列車の音がゆっくりゆっくりと、近づいてきました。

サソリ「お話し相手になってくださり、ありがとう。」
サソリは、大きなハサミで切り絵を差し出しました。

サソリ「いいですか?列車に乗り込んでから、本へ切り絵を貼りつけるのですよ。そうすれば、列車の中での旅に戻れるでしょう。」
切り絵を差し出すサソリのハサミは、とても大きく少し怖くもありましたが
まめぴよは、サソリの灯をみて、体の真ん中がキュウっと締め付けられるような気持ちになりました。

まめぴよ「うん。どうもありがとう。」
まめぴよは、大きなハサミから切り絵を受け取りました。

列車が到着し、扉が開きました。

まめぴよは、列車に乗り込むと、サソリに言いました。
まめぴよ「サソリさん、どうかしあわせでいてね。」

サソリは、一瞬おどろいた様子でしたが、
そのあと、いっそう輝きを増し、大きく赤く燃えました。
それと同時に、まめぴよのカバンが熱くなり、
中から、チリチリという音と煙が出た気がしました。

扉が閉まり、列車は出発しました。

まめぴよは、カバンを開けて、特別な黒い本を取り出しました。
カバンの中から、すこし焦げ臭いにおいがしましたが、
黒い本には何も変わりありません。

そして、サソリにもらった切り絵を新しいページに貼りつけました。

(切り絵はTwitter Instagramにて、今夜UP予定)

タイトルとURLをコピーしました