100日曼荼羅アート 62日目-くも
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【はらぺこのお月さま】
この本で出会ったうさぎたちは、”本の外からの旅人”を知らないという。
でも、お月さまは何かを知っていて、まめぴよの背中を押す。
この本はいったい……?
東の村
ハッと目を開けると、
青空にもくもくと白い雲が流れ、緑の草がサラサラと音を立てていました。
まめぴよ「暗闇から出てきてる……。」
ぼんやりと空を見上げました。
すると、聞き覚えのある声が聴こえてきました。
ムー「おーい!!まめぴよー!!」
ムーとヌーがこちらに走ってきます。
まめぴよ「あれ、どうして……?」
ヌー「食堂の窓からね、黄色いのが見えたから!」
ムー「すごい久しぶりじゃないか!もう会えないのかと思っていたよ!」
まめぴよ「みんな、消えてなかったんだ……?」
ムー「え?どうしたって?それよりさ、今日はお月さまが僕らの村に来てる日なんだよ!」
ヌー「そろそろ休憩の時間なの、まめぴよも一緒に食べようよ!」
ムー「もうすぐ焼きあがるんだ!はやく食堂へ行こう!」
まめぴよ「う、うん。」
まめぴよは、完成していない絵本の世界で、結末のないまま、
この本の白うさぎたちやお月さまが、
どうなってしまうのか気がかりでならないまま、
ムーとヌーに手を引かれ大きな食堂へ向かいました。
天の川アイスクリーム
うさぎの大将「おーぃ!みんなー焼けたぞー!!休憩だー!」
ムー「やったぁ!今日のホットケーキには、昨日天の川でくんできた特製ミルクで作ったアイスクリームを添えてたべるよ!」
ヌー「今日のアイスクリーム、私たちふたりが作ったのよ!これ、まめぴよに食べさせたかったんだぁ!まめぴよ来てくれてよかった!!とっても美味しいのよ!!」
まめぴよ「そうなんだね、すごく楽しみだな!」
ヌー「ほら、まめぴよは、お席についていてよ!」
まめぴよは、席に着きながら、キョロキョロ。
お月さまを探しましたが、お月さまは見当たりません。
「お月さま、どこに居るんだろう……?」
ムー「はーい!おまたせー!!」
ムーがホットケーキの皿を運んできました。
まめぴよ「わぁすごい!!美味しそうだ!!」
3段に重ねられたホットケーキの横に、
キラキラと輝きをはなつ、まっしろなアイスクリームがたっぷりと添えられて、
ホットケーキのうえには、まっしろのフワフワが乗っています。
まめぴよ「この、くもみたいなフワフワは何?」
ヌー「みたいじゃなく、くもよ!ほら、空に浮いてるやつね!あまくって美味しいよ!」
まめぴよ「ほんとだ、わたあめみたい。」
ムー「とれたてだから、めちゃくちゃフワフワだよ!ほんとはさ、山まで行かないと取れないもんだから、こんなに新鮮なフワフワくもをホットケーキと食べられるのは、お月さまのおかげなんだ!」
まめぴよ「お月さまが、これを??」
ヌー「さっき、空にのぼって、たくさんとってきてくれたのよ。」
ムー「最近すっかり元気に戻ったからね、ずいぶん空高くまでのぼれるようになったって聞いてるよ!」
ヌー「お月さまは、おっきくなっちゃって食堂の入り口通れないから、外でホットケーキを食べてるはずよ。食べ終わったら、会いに行くといいよ!」
まめぴよ「うん。よかった、元気なんだね。」
ムー「ほら、食べよう!」
「いただきます!」
3人は、久しぶりの再会をよろこびながら、
さまざまなお話をしつつ、楽しくホットケーキを食べました。
まんまるのお月さま
ホットケーキを食べ終えたまめぴよは、食堂の外へお月さまに会いに行きました。
外の芝の上に、大きなまんまるが転がっていました。
まめぴよ「あれが、お月さま?」
お月さまは、ホットケーキを食べ終えて、横になってお日さまを浴びているようです。
すっかりまんまるになり力強い印象で、光も強くなっている気がしました。
まめぴよはお月さまにかけより言いました。
まめぴよ「お月さまー!ずいぶんまんまるになったんだね!」
お月さま「わぁ!まめぴよじゃないか!!待っていたよ!」
まめぴよ「待って、いたの……?」
お月さま「そうさ、今日は、わたしが真ん丸になる日だったから。」
まめぴよ「よかった、お月さまがちゃんとまんまるになれる日が来てくれて。」
お月さま「そう、最後のページだからね。もちろん、まめぴよのおかげだよ。」
まめぴよ「え?どういうこと?最後のページまでちゃんと仕上げなかったのに……?」
お月さま「きみは、この絵本を最後のページまで絵や文字は描き切らなかったかもしれないけれど、最後のページのストーリーは、ちゃんときみの心の中に描いていたよね。だから、ぼくらは、ここに居る。」
まめぴよ「心の中の……。」
お月さま「きみの夢、この本のみんなが応援してる。ほら。」
お月さまは、食堂をゆびさしました。
食堂の窓から、ムーやヌー、ほかの白うさぎたちが手をふっていました。
「まめぴよー!がんばれー!!」
まんまるのお月さまは、切り絵をさし出しました。
お月さま「旅人の本、最後まで、しっかりお進み。」
お月さまは、まめぴよの背中をやさしくポンと押しました。
まめぴよは、涙でいっぱいになった目をにっこりさせて、みんなに両手を大きくふりました。
そして、お月さまの顔を見て大きくうなずくと、切り絵を受け取りました。
まめぴよ「みんな、どうもありがとう。」