100日曼荼羅アート 63日目-サギ
新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【銀河鉄道の夜】
いじめられっこのジョバンニ、その親友のカムパネルラふぁ、銀河鉄道に乗って様々な人と会ったり、冒険をするお話。その列車のいきさきは……?
【63日目】100日旅するまめぴよ 「銀河鉄道の夜」鳥獲り
新たな本の中へ
『銀河ステーション、銀河ステーション』
大きなアナウンスで目を覚ますと、そこは列車の中のようでした。
新しい本のページが始まったようです。
まめぴよはむくっと、起き上がると、窓の外をのぞき込みました。
窓の外は、夜空にはたくさんの星がかがやき、輝くススキも見えています。
「ひょっとしてこの本の世界は、『銀河鉄道の夜」?」
音楽がなりひびき、扉が閉まる音がしました。
そして、列車は走りだしました。
大きな男
まめぴよ「そうだ、この列車が、銀河鉄道だとしたら、ジョバンニとカムパネルラも乗っているはずだ。ふたりを探しに行こう。」
まめぴよの乗っている車両は、いちばん後ろの車両のようなので、
本の登場人物であるふたりを探しに、前の車両へと移動することにしました。
前の車両への扉を開けようとした瞬間、勢いよく扉が開き、
ドン!
前から大きなクマがあらわれ、
まめぴよはその大きなクマの大きなおなかに吹っ飛ばされて、コテンと転がりました。
まめぴよ「いたた。」
クマ「おっと、ごめんよ。急いでいたもんだから。これからサギを獲りに行くんでね。」
ドスドスと大きなクマは足音を立てました。
まめぴよ「サギを……?」
と、まめぴよが顔をあげると、そのクマのすがたは、もうありませんでした。
まめぴよ「ここいちばん後ろの車両なのに、どこへ行っちゃったろう……?」
まめぴよは立ち上がり、ふと窓の外を見ると、
キラキラと光る柱があるのが見えました。
窓に近寄って、よくよく見てみると、
その光の柱は、たくさんの光るサギが空から舞い降り、地面へ降り立つ姿でした。
しかし、そのサギたちは地面へ舞い降りたとたんに、地面に吸い込まれて、消えていきます。
そのサギのたちの光の柱の真ん中に、
さっきの大きなクマが、足を地面にしっかりと広げて立っていました。
そして、地面に降り立つ直前のサギたちを、捕まえて、どんどんと袋に詰めていきます。
しばらくすると、大きなクマは、両手をあげて
「おー」と叫んだ気がしました。
サギのお菓子
クマ「あぁ、よく獲れた。」
突然背後から、クマの声が聴こえました。
振り返ると、大きなクマが立っていました。
まめぴよ「どうやって、一瞬で戻ってきたんです?」
クマはドッスリとイスに腰かけました。
クマ「まぁまぁ、お座りなさいな。ひとつ、きみにも分けてあげよう。」
と、クマは言うと、袋から平べったくチョコレート色になったサギを取り出しました。
そして、ポキッと足を折ると、まめぴよに差し出しました。
まめぴよ「あ、ありがとうございます。」
本では読んでいたものの、実際サギを目にして食べるとなると、なんだか勇気がいるな、
と思いつつ、まめぴよは、サギの足を口に運び、すこしかじりました。
まめぴよ「あ、おいしい。なんだろう、ココアクッキーみたい。」
クマ「どうだい?いけるでしょう?」
まめぴよ「はい、とっても!!」
どちらまで?
クマ「ところであなたは、どちらまで?」
まめぴよ「えぇと、どの駅なのかな……、最後のページまで……。」
クマ「あぁ、あなたは、本の外からおいでで。。。」
まめぴよ「はい。」
クマ「この列車にはね、本の外からの旅人が、まぁまぁ乗ってくるんですよ。なにせ、古いお話ですから。」
まめぴよ「旅人たちとは、どんなお話されるんですか?」
クマは、サギの入った袋をガサゴソしながら答えました。
クマ「話はしないな。わたしはね、鳥を獲ることに夢中なもんで。」
まめぴよ「そ、そうですか。。。」
クマ「この本ではね…、」
クマは何かを言いかけて、
「あぁ、まぁ、気をつけて進むといいよ。」
と、袋から取り出した切り絵を、まめぴよに差し出しました。
まめぴよは、お礼を言って、切り絵を受け取り、
新しいページに貼りつけました。