100日曼荼羅アート 40日目-芽
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【星の王子さま】
フランスの作家であり飛空士でもあったサン=テグジュペリによって書かれた物語。
砂漠に不時着した飛空士が、宇宙のどこかの星からやってきた小さな王子さまと出会います。
(登場するキャラクターや内容・解釈は、ななのアレンジも結構加わっておりますので、ぜひ原作の『星の王子さま』のストーリーも読んで楽しんでみてくださいね。わたしは、こちらの翻訳が読みやすくて好きです→【星の王子さま】)
【40日目】100日旅するまめぴよ 「星の王子さま-8」飛行士
飛行士
「おい、きみ、大丈夫かい?」
目を覚ますと、男が心配そうにまめぴよの顔をのぞき込んでいました。
まめぴよ「……あ。だいじょうぶです。」
男「やぁ、心配したよ。こんなところで倒れているもんだから。」
まめぴよ「ご心配おかけしました。たぶん、寝ていたんです。」
男は不思議そうな顔をしましたが、すぐに、「あぁ、なるほどね。」と
まめぴよが本の外からの旅人だと気づいたようでした。
その男は、服装からして『星の王子さま』に出てくる飛行士でした。
まめぴよ「ひょっとして、飛行士さんですか?」
飛行士「そう、僕は飛行士だよ。」
井戸
まめぴよが辿り着いた場所は、地球の砂漠でした。
そして、すぐ横には、滑車のついたりっぱな井戸がありました。
こんな砂漠には不釣り合いな立派な井戸です。
飛行士「さぁ、水をお飲み。これから暑くなる、シッカリ水分補給しなくちゃね。汲みあげたばかりだから、冷たくて美味しいよ。」
まめぴよ「ありがとうございます。」
まめぴよは、ぐびぐびと水を飲みました。
その水は、とても冷えていて、なんとも柔らかく、さらりとしていて、
体中にしみ入るような、とても美味しいお水でした。
飛行士「いいのみっぷりだ。」
飛行士は、やさしく笑いました。
まめぴよ「あの、ここには王子さまは居ないのですか?」
飛行士「うん、そうだね、ここには居ないよ。」
まめぴよ「ほかのページには、まだ居るんですよね?」
飛行士「まだって?どうしたんだい?」
まめぴよ「えぇと…、また、会うこと約束したので…。」
飛行士「そうか、きみはあの王子さまと、ともだちになったのかな。」
いい芽 わるい芽
飛行士「さぁ、そこの日陰に座ろうか。」
日陰に腰をおろすと、飛行士は、語りだしました。
「王子さまの星はね、他の星と同じように、いい植物とわるい植物が生えるんだ。
地面の中に眠るタネは、気まぐれに目を覚ます。
そのタネには、いいとわるいの2種類があって。
芽が出たばかりでは、どちらも似ていて見分けがつかず
どちらなのかを見分けるには、すこし時間がいるけれどね。
いい植物の芽だったら、放っておいて伸びたいように伸ばせばいい。
わるい植物の芽だったら、早いうちに抜いてしまわないといけないな。
わるい植物を放っておくと大変なことになる。
どんどんと育って、いつの間にやらわるい植物で星をいっぱいにおおってしまうんだ。」
飛行士は、まめぴよを見つめて言いました。
「きみには、この星の話、どう届くかな?」
そして、続けてい言いました。
「きみには、できているだろうか?」
まめぴよは、胸がきゅうっと痛くなり、締め付けられるような気がしました。
まめぴよ「きっと、できてない。」
まめぴよ「その星のお話…、まるで心のことみたいだ。」
飛行士「やっぱり、きみにはそう届いたか。そう、人は、それぞれ心という星をもっているだろうと思うよ。」
まめぴよ「心の地面の中にあるタネは、自分がまいたタネも、他人がまいたタネもあると思うけれど…、タネが芽を出したら、育てるべきか、抜くべきか、ちゃんと自分で見定めないといけないっていうこと、なんだよね?」
飛行士「きみがそう感じるなら、そういうことさ。」
まめぴよ「『星の王子さま』の本を読んだ時には、そんなふうには思いもしなかった……。」
飛行士「経験が重なると、届くものも感じ方も変わっていく。きみが、本の世界に入る前に思いもしなかったり、感じなかったことも、色々あるだろう?それは、きみが、本の世界の旅を続けることで、成長していっているということ。この旅で、自分の心と向かい合おうとしているのかもしれないね。」
まめぴよ「自分の心と、向き合う……。」
まめぴよは下を向きました。
飛行士「焦ることは無いよ。きみは大丈夫さ。」
飛行士は、まめぴよの肩に大きな手をやさしく乗せると、
ニッコリ笑って、切り絵を取り出しました。
「さぁ、これで進むといい。」
まめぴよは、お礼を言って切り絵を受け取りました。