100日曼荼羅アート 17日目-菊
☆現在まめぴよが迷い込んでいる物語
【西遊記】
仙石が石卵から生まれた石ザルは、サルの王となります。
石ザルは、仙術を学ぶため仙人にに弟子入りし孫悟空という名を授かります。その後、天界で大暴れし、如来の五本の指が変じた五行山に封じられます。
それから500年。如来は、下界の乱れを案じ”三蔵の真経”を立派な僧に託すことを決め、如来の命を受けた観音菩薩は取経にふさわしい人物、玄奘を見つけ出します。”三蔵の真経”を授かりに行くことから、玄奘は三蔵と名乗り、天竺をめざして西へ旅立ちました。
【17日目】100日旅するまめぴよ 「西遊記-5」紅葫蘆(べにひさご)
赤い空間
まめぴよは、赤い空間に立っていました。
足もとは、すこし水で濡れています。
「あれ、どうなってるの…?」
何やら声が聞こえてきます。
弟「成功したぞ兄者!!名前が分かれば、たやすいもんだ!」
兄「あとは、こいつが溶けて酒になれば、それをひと飲み!サル野郎より強大な妖力を得られるぞ!」
弟「そして、やっと三蔵を奪い、食らえば、不老長寿を得られるってわけだ!」
ガハハハと、笑い声がします。
「おい!本まで一緒に中に入ったぞ!お前たちは、あいつをエサに三蔵を釣るのではなかったのか?!それに、そいつを殺してしまったら本が消えてしまう!」
兄「そんなこたぁ、知らねぇなぁ。」
「あいつを連れてくれば、、本はこちらに渡すと言う約束だったじゃないか!」
弟「強大な妖力が得られれば、釣らずとも奪えるからなぁ!」
「だましたな!!父上が許さぬぞ!」
兄「さっさと帰りやがれ、ガハハハ。」
紅葫蘆(べにひさご)
まめぴよは、彼らの会話で理解しました。
さきほどの大男ふたりは、
金角大王と銀角大王が、人に化けていたもの。
そして、まめぴよは、名前を呼ばれ返事をしたことで、紅葫蘆(べにひさご)の中に吸い込まれてしまったこと。
紅葫蘆に吸い込まれた者は、やがて時間が経つと、すっかり溶けてお酒になるようです。
「溶けて、お酒になって、悟空と三蔵さまが…どうしよう…」
まめぴよは、涙が溢れてきました。
まめぴよは、三蔵の言葉を思い出しました。
「他人を頼ることも、甘えることも、悪ではありません。あなたがそれを理解して心から叫ぶことができれば、あなたがどこに居たとしても、悟空の耳に声が届きます。」
まめぴよは、叫びました。
「悟空ーーー!!!」
「悟空ーーーーーーー!!!」
金角「おぉ、おぉ、あのサル殿をお呼びですか。ガハハハ。」
銀角「そんな場所から呼んだって、声が届くわけなかろうに。」
「悟空ーーーーーーーーーー!!!!!」
金角「溶ける前に、お前にいいことを教えてやろう。他人に期待しないほうが幸せってもんだぜ。ガハハハ。」
まめぴよは、その言葉を聞いて黙りました。
(他人に期待しないほうが幸せ…)
溶ける時間
キュポッ。
天井のフタが開きました。
銀角「そろそろ、半分くらい溶けたかな?」
天井の穴から銀閣の目がのぞきました。
銀角「こいつ、ぜんぜん溶けてねぇ!」
金角「まぁ、強大な妖力のためには待つの仕方ねぇ。明日の朝には、さすがに溶けてるだろ。置いておけ。」
銀角「”まめぴよ酒”うまいんだろうなぁ~。」
キュポッ。
ふたたびフタは閉められ、二人の声は遠のいていきました。
声
まめぴよは、肩を落とし、座り込みました。
「溶けちゃうって、どんな気分なんだろう…。」
すると、目の前にプ~ンと、虫が飛んできたかと思うと
突然、目の前に悟空が現れました!
悟空「まめぴよ!待たせたな!」
まめぴよ「悟空!?どこから?」
悟空「あいつらがフタを開ける時を狙ってたんだ。小虫に化けて入ってきたのさ。」
まめぴよは目から、ぽろぽろと涙をこぼしました。
悟空「お前の声は、俺の耳にしっかり届いたよ。」
まめぴよ「ごくぅ…来てくれてありがとう…!」
悟空「お前こそ、俺を信じて呼んでくれただろう?ありがとな!」
悟空は、お前は良く泣くなぁ、と、まめぴよの頭をポンポンとたたきました。
まめぴよは、ハッとして言いました。
「悟空、どうしよう!ここで溶けて”まめぴよ酒”になって、金角銀角に飲まれちゃったら、悟空が倒されて、三蔵さまが食べられちゃうんだって!」
悟空「おいおい、お前、もっと自分自身を心配しろよ。」
悟空は笑いました。
まめぴよ酒
悟空「お前は溶けて酒になったりせんから、安心しな。」
まめぴよ「どういうこと?」
悟空「お前、金色の桃食っただろ。あれは、天界からくすねてきた特別な桃だ。」
まめぴよ「あれって、特別な桃だったの??」
悟空「まぁ、この紅葫蘆くらいにゃ負けないくらいの体になってるよ。」
まめぴよ「…くすねた桃、食べちゃったんだ。」
悟空「なんも悪かねぇよ、桃はうまいうちに食うもんだ!」
悟空「さ、お前はコレ使ってこっから出な。」
悟空は切り絵を取り出しました。
まめぴよ「…悟空は?」
悟空「俺は、大丈夫だ。あいつらが酒を飲もうとフタを空けたら、小虫に化けて出れるからな!」
まめぴよ「…うん。」
悟空「また危険なとこに着くかも分からんから、気をつけていけよ。」
まめぴよはうなずくと、切り絵を黒い本に貼りつけました。