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【15日目】100日旅するまめぴよ 「西遊記-3」玄奘三蔵

100日投稿

100日曼荼羅アート 15日目-牡丹

☆現在まめぴよが迷い込んでいる物語
【西遊記】
仙石が石卵から生まれた石ザルは、サルの王となります。
石ザルは、仙術を学ぶため仙人にに弟子入りし孫悟空という名を授かります。その後、天界で大暴れし、如来の五本の指が変じた五行山に封じられます。
それから500年。如来は、下界の乱れを案じ”三蔵の真経”を立派な僧に託すことを決め、如来の命を受けた観音菩薩は取経にふさわしい人物、玄奘を見つけ出します。”三蔵の真経”を授かりに行くことから、玄奘は三蔵と名乗り、天竺をめざして西へ旅立ちました。

【15日目】100日旅するまめぴよ 「西遊記-3」玄奘三蔵

山の中

目を覚ますと、そこは岩がごろごろとした、山の中。
少し先で川の流れる音が聞こえてきます。

そこへ、黒いチョウチョがヒラリヒラリと飛んできました。
そのチョウチョを追うように、まめぴよは、歩き出しました。

白い龍

チョウチョを追ってしばらくいくと、川に出ました。
歩き疲れたまめぴよは、川でひと休みすることにしました。
「これから、どうしたらいいのかな…。また妖怪出てきたらどうしよう…。」
まめぴよは、岩の上に腰をおろしました。
川の水に足をつけると、スゥっと体が軽くなっていくようでした。
「すこし冷たいけど、気持ちいいな。」

すると、目の前の川がゆがんで見えてきました。
下から水がもりあがりはじめ、大きく膨らんだかと思うと、中から白い龍が現れました。
龍「…こちらにおいででしたか。」

白い馬

龍「まめぴよどの。お探しいたしましたぞ。」
まめぴよ「…え?探してた?」
龍「よくぞこの川を見つけなさった。この川は龍族の治める川。その霊力で、弱い妖怪は近づけないのです。ほら、後ろをごらんなさい。」
まめぴよは、後ろを振り返りました。川から少し離れた木々や岩の影から、何かがこちらの様子をうかがっているようです。
まめぴよ「あれは、妖怪…?」
龍「そうです。あなたは、希少な本の外からの旅人。妖怪たちは、あなたの命、あなたの本を狙いますぞ。」
まめぴよ「命も?本も?」
龍「そうです。」
龍は川から上がると、みるみるうちに白い馬になりました。
龍「ここに長居はよくありません。川に近づける強い妖怪を呼ばれては困りますから。私にお乗りなさい。」

風のように

まめぴよは、言われるがまま、白い馬にまたがりました。
龍「しっかりつかまっているのですぞ。」
白い馬になった龍は、まるで風のように、岩場を掛けぬけ、山をのぼっていきました。ものすごい速さで、まめぴよは目を開けていられませんでした。

龍「さぁ、つきましたよ。中へ。三蔵さまがお待ちです。」
まめぴよは、龍に礼を言い寺院の中へ入っていきました。
中には、たくましそうなお坊様が背筋をまっすぐに座っておられました。

三蔵法師

三蔵「まめぴよですね、待っておりましたよ。」
まめぴよ「はい。はじめまして、三蔵さま。」
まめぴよは、お坊様の前に座りました。
三蔵は静かに目を開け言いました。

三蔵「八戒は、深酒をくらっていなかったでしょうか?」
まめぴよ「あ、えーと…そんな感じは…」
三蔵はフフフと笑いました。

”軸”のゆがみ

三蔵「ところで、なかなか危険な旅となっていることでしょう。」
まめぴよ「…あちこちに妖怪がいて、恐いです。」
三蔵「本の中の妖怪たちは、本来、わたくしの命を狙うことが大きな”目的”となっていましたが、少しずつ変化してきているようです。」
まめぴよ「さきほど、龍さんから聞きました。本の外から来た人の命も本も狙ってるって…」
三蔵「そう。本の外から来た者を食らうと、大きな妖力を得られると妖怪の中で噂となっているそうです。」
まめぴよ「そんな…!!」
三蔵「そして、外から来るあなた方の持つ”特別な本”を狙う理由。その本を使うと、この世界、つまりこの本『西遊記』の”軸”を、ゆがめられると聞きます。」
まめぴよ「この本で、そんなことが…?」
三蔵「確かなことは私にも分かりませんが…。2冊ほど大妖怪に奪われていると悟空から聞きました。あなたが『西遊記』の世界に入った途端に妖怪に追われ危険な目にあったのも、ページを越えるときに、私のいる寺院のすぐそばに辿り着けなかったのも、この本の”軸”のゆがみが始まっているのが原因と思われます。」
まめぴよ「本を奪われた人たちは、食べられてしまったのですか?」
三蔵「いいえ、本の持ち主が死んでしまうと本は消えてしまうそうなので、持ち主は生きているでしょう。しかし、彼らが今どこに居るのかは、わたくしは存じ上げません。」
まめぴよ「そんな本だったなんて…」
まめぴよは、ギュッと自分の持つ黒い本を抱きしめました。
三蔵「特別な本であり、謎の多い本と言えますね。」


三蔵「日に日にゆがみは強くなっています。危険なページへたどり着く可能性も高くなってゆくでしょう。」
まめぴよ「…はい。」
三蔵「危険を感じたら、すぐに悟空をお呼びなさい。」
まめぴよ「でも!悟空さんには、三蔵さまをお守りするお役目が…」

三蔵「いいですか、まめぴよ。」
三蔵は、優しくまめぴよを見つめました。
三蔵「あなたは、人を頼ることはいけないことだと、何事も自分で解決しようと、日ごろから考えているでしょう。」
まめぴよは、口をつぐみ、下を向きました。
三蔵「他人を頼ることも、甘えることも、悪ではありません。あなたがそれを理解して心から叫ぶことができれば、あなたがどこに居たとしても、悟空の耳に声が届きます。」
三蔵はニッコリとして、まめぴよの両肩に手を乗せました。
その手は、とてもあたたかく、どっしりとしていました。

三蔵「これがこのページの切り絵です。お気をつけて、お進みなさい。」

(お花の切り絵はTwitter Instagramにて、今夜UP予定)

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