100日曼荼羅アート 98日目-八尋和邇やひろのわに
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【古事記】
現存する日本最古の歴史書とされている書物。上・中・下の全3巻からなる。
和銅5年に太安万侶が編纂して、元明天皇へ献上された。
(青空文庫・現代語訳 古事記)
・・・そんな最古の書物に迷い込んだまめぴよは、どんな出会いをしていくのか……?
まめぴよはアレンジ&簡潔にしてしまった古事記を旅して進んでいきますので、ぜひ、現代語訳古事記の本自体を、お手に取ってみてくださいね!なるほども、残酷も、さまざまでたいへん興味深い内容でいっぱいです、ぜひ!
現代語古事記
【98日目】100日旅するまめぴよ 「古事記-18」鵜葺草葺不合命うがやふきあえずのみこと
海辺
目を覚ますとそこは、浜辺でした。
見上げると青空に白い雲が、ぽっかりぽっかり。
海の反対側には、大きな山々。
山には青々とした田んぼも広がりたいへんのどかな景色でした。
まめぴよ「きれいなところだなぁ。」
「もしや?まめぴよどのでは、ございませんか?」
まめぴよが振り返ると、そこにはお腹の大きなトヨタマビメが立っていました。
まめぴよ「トヨタマヒメさん!」
トヨタマ「お久しゅうございます。お元気でございましたか?」
トヨタマビメと話をしていると、ホオリノミコトが走ってやってきました。
ホオリ「なんと!トヨタマヒメではないか!なぜ、この地上へ?」
海から来たわけ
トヨタマ「実は、私は以前からあなたの子を宿しておりまして、今、御子を産むべき時になったのでございます。天の神の御子を、海の中で産むわけにはいきませんので、海から出てまいりました。」
まめぴよ「赤ちゃん、産まれるんですね!おめでとうございます!」
ホオリ「なんとそうであったか!だいじあってはならんな。さぁ、はやく私の御殿へ参ろう。」
トヨタマ「それは、いけません。私は、こちらで産もうと思うのです。」
そこには、鵜の羽を茅葺きとした作りかけの産屋がありました。
まめぴよ「そうなんだ!では、ここ作るの、お手伝いしますね!」
トヨタマ「まめぴよどの、ありがとう。」
まめぴよは、トヨタマビメの産屋つくりを手伝い始めました。
ホオリは、手伝わず言いました、
ホオリ「なぜ、我が御殿へ参らない?」
トヨタマ「よその者は、子を産むときになれば、その本国の姿になって産むのでございます。わたくしも、本来の姿になって子を産みますが、その姿を決して見てはなりませぬ。」
と、産屋が仕上がらないうちに、御子が生まれそうになってしまったので、
トヨタマビメは、作りかけの産屋に籠ってしまいました。
ホオリが、産屋の中をとても気にしていたので、まめぴよはホオリに言いました。
まめぴよ「ホオリさん、すこし離れて待っていましょう。」
ホオリ「そ、そうか。・・・そうしよう。」
と、ふたりは、浜辺から離れ、原っぱに腰をおろしました。
八尋やひろの大和邇おおわに
ホオリは、まめぴよに言いました。
ホオリ「生まれてくる我が子のために、御殿で準備をしてこよう。まめぴよどのは、こちらで待っておれ。」
まめぴよ「はい、わかりました。」
と、言いはしたものの、
ホオリは、産屋の中が気になって気になって仕方がなく、
産屋の中をこっそりと、のぞきに行ってしまいました。
するとそこに見えたのは、のたうち回る、八尋もある大和邇。
ホオリは驚いて、浜辺から逃げ去ってしまいました。
※尋とは長さの単位で、日本では主に水深を表すのに用いられます。
一尋は、約1.818メートル。八尋は、約14.5メートル。
つまり、トヨタマビメは約14.5メートルもある、海の怪物(大和邇)だったのです。
鵜葺草葺不合命うがやふきあえずのみこと
しばらくたって、原っぱから浜辺に出てきたトヨタマビメが見えたので、
まめぴよは、浜辺へ向かいました。
まめぴよ「トヨタマビメさん、だいじょうぶですか?」
トヨタマ「えぇ、無事産むことができました。産屋で寝ているあの御子は、鵜葺草葺不合命と申します。わたくしは常に海の道を通って、ここへ通うおうと思っておりましたが、わたくしの本来の姿を、あの方はお覗き見されてしまったので、もう恥ずかしく、ここに来ることはございません。」
まめぴよ「そんな!!ホオリさんが、見に行っちゃっただなんて!ごめんなさい、ちゃんとホオリさんを……」
トヨタマ「あなたに責任はございませんよ。」
まめぴよ「でも……。」
トヨタマ「あの御子の世話係には、私の妹のタマヨリビメをよこしましょう。」
と、トヨタマビメは、まめぴよに切り絵を渡すと、
海の世界へ帰っていってしまいました。
このときの産屋の跡が、宮崎県の鵜戸神宮と伝わっています。
まめぴよは、なんともいえない残念な気持ちになりましたが、
そのまま、もらった切り絵を新しいページに貼りつけました。