100日曼荼羅アート 84日目-桃の実
現代語古事記
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【古事記】
現存する日本最古の歴史書とされている書物。上・中・下の全3巻からなる。
和銅5年に太安万侶が編纂して、元明天皇へ献上された。
(青空文庫・現代語訳 古事記)
・・・そんな最古の書物に迷い込んだまめぴよは、どんな出会いをしていくのか……?
【84日目】100日旅するまめぴよ 「古事記-4」黄泉比良坂よもつひらさか
東をめざせ
目を覚ますと、まめぴよは、まだ黄泉の国。
黄泉の国からは簡単には出られないようです。
イザナミノミコトに言われた通り、東に向かって歩き出しました。
長い長い坂道を登り始めると、洞窟の中は、うっすら明るくなきました。
まめぴよ「けっこう、歩くんだなぁ。。。」
と、そこへ後ろから声がしてきました。
イザナギ「まめぴよー!!まめぴよー!!!」
坂道を振り返ると、イザナギノミコトでした。
まめぴよ「あ、イザナギさま。」
黄泉比良坂よもつひらさか
遠くからイザナギがこちらへ向かって走ってきますが、
彼のうしろから、なにか他の者も一緒にうごめいて見えます。
イザナギは、あっという間にまめぴよに追いつき、言いました。
イザナギ「逃げるのだ!!まめぴよ!!」
イザナギは、まめぴよをひょいッと肩にかつぐと、坂道をかけのぼり始めました。
まめぴよ「ど、どうしたのですか?」
イザナギ「イザナミの居る御殿を見つけ、一緒に帰ろうと伝えたのだが・・・・・・」
イザナギは、一部始終をまめぴよに伝えました。
黄泉の国にて、やっとイザナミのいる御殿を見つけました。イザナギは、愛しい妻に言いました。「さぁ、私たちの国生みはまだ終わっていない、帰っていらっしゃい。」
すると、イザナミは戸のすきまから、こう返しました。「それは、残念なことを致しました。あなたさまが来るのが遅かったので、私は黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。ですが、せっかくお迎えに来てくださったので、黄泉の国の神に相談をして参りましょう。そのあいだ、わたくしの姿をご覧になってはいけませんよ。」と、御殿の中に入っていきました。
ところが、イザナミがなかなか出てこないために、あまりに待ち遠しくなったイザナギは、戸を開き御殿の中を覗いてしまいました。すると、そこには、うじがわいてゴロゴロと音を立たせ、体中から10種の雷を出現させている何とも恐ろしいイザナミの姿があったのです。
その姿に驚いたイザナギは大慌てで御殿から逃げ出しました。イザナミは「よくも私に恥をかかせたな!」と、黄泉醜女(黄泉の国の鬼女)を放ちました。
追跡
イザナギ「まめぴよ、うしろはどうなっている??」
かつがれたまめぴよが、うしろに目をやると、
髪を振り乱し、恐ろしい顔つきの者たちが、すごい速さで追ってきます。
まめぴよ「長い髪の恐い顔のひとたちが、ものすごい速さで追ってきています!!」
イザナギ「よし!まめぴよ、私の髪飾りを、鬼女に向かって投げつけよ!」
まめぴよ「は、はい!」
まめぴよは、恐ろしさで震える手を、何とか使って、イザナギの黒いツルの輪っかを髪から取り外し、うしろに投げつけました。
すると、その髪飾りは、あっという間にツルを伸ばし、そこから野ブドウが生えました。追っ手の鬼女たちは、そのブドウをむさぼりはじめ、足を止めました。
まめぴよ「ブドウ、食べています!」
イザナギ「よし、うまくいったな!!」
しかし、またしばらくすると、鬼女たちはイザナギとまめぴよを追い始めました。
まめぴよ「また来ています~!」
イザナギ「よし、次は、わたしの右の髪にあるクシの歯を砕き投げつけよ!」
まめぴよは、言われた通り、クシの歯をくだき、その歯を投げました。
すると、そのクシの歯から、ニョキニョキとタケノコが生えだして、鬼女たちはそれを、よいしょと抜いて、これも食べ始めました。
まめぴよ「・・・鬼女って、そうとう腹ペコなんだね。」
イザナギ「よぉし!まめぴよ、もうすこしじゃ!地上の世界がみえてきたぞ!!」
しかし、黄泉の国の鬼女たちは、ふたたび群れを成して、まだまだと追ってきました。
イザナギは、長い剣を後ろ手に、鬼女を振り払いながら走りました。
まめぴよは、イザナギから振り落とされないように、けんめいにしがみついていました。
そうこうして、坂のふもとまで到着しました。
イザナギ「よし、ふもとまで到着じゃ!!」
そのふもとには、立派な樹にたくさんの桃がなっていました。
まめぴよは、『西遊記』の本の中で悟空にもらった桃の実ことを思い出し、
手に届く桃の実を3つもぎ取ると、鬼女たちに向かって投げつけました。
すると、鬼女たちあわてふためき、ちりぢりに消えていきました。
やはり、桃の実には不思議なチカラがあったのです。
仲直り
鬼女たちは去りましたが、しまいには、女神のイザナミ自身が追ってきました。
イザナギ「よし、まめぴよ!すこし離れておれ!!」
と、イザナギは、近くにあった大きな岩石をかついでくると、
ドーーーーン
と、黄泉の比良坂の入り口を、でふさいでしまいました。
イザナギ「これで、地上へは追ってこれまい!!」
しかし、イザナギとイザナミは、岩を境に、なにやら口論をしはじめました。
たいへんな夫婦喧嘩を目の当たりにし、まめぴよはどうしてよいやら困り果てておりました。
そんなところへ、どこからともなく穏やかな表情の女性が現れ岩のほうへ歩いていきました。
その神の名は、菊理媛神。
イザナミの側には、泉守道者が現れ、菊理媛神が何かをお話になったそうです。
イザナギは、腕を組んで、うんうん、とうなづいていました。
ふたりの神の仲は、これで解決したのでした。
イザナミ「あなたの国のものを、一日に千人ずつ殺します。」
イザナギ「ならば、地上では一日に千五百人ずつ子が生まれるようにしよう。」
※菊理媛神は、イザナギとイザナミの仲を取り持った神として語り継がれています。
日本神話においては、『古事記』や『日本書紀』本文には登場せず、『日本書紀』の一書(第十)に一度だけ出てくるのみとのこと。
話し合いの終わった後、
菊理媛がまめぴよのそばにやってきました。
菊理媛「たいへんな、ページとなりましたね。ご無事ですか?」
まめぴよ「はい、だいじょうぶです。」
菊理媛「こちらで、みそぎができましょう。」
菊理媛は、ゆったりと語りかけ、まめぴよに切り絵を差し出しました。
まめぴよは、深々と頭を下げ、切り絵を受け取りました。