100日曼荼羅アート 77日目-まつり
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【ゆずいなり】
ゆずという名の神使のキツネが、ある村におりたったときのおはなし。
・・・まめぴよの作りかけた未完成の絵本の世界のようですが…。
【77日目】100日旅するまめぴよ 「ゆずいなり-6」まつり
供物
気がつくと、神社の大きな樹の上にいました。
緑の葉は、すっかりオレンジ色に色づいていました。
何やら村人たちが、拝殿前に米俵や油揚げ、昆布や干し柿などなど、
たくさんの供物を運び込み、にぎやかな様子でした。
まめぴよは、しばらく開く間の無かった切り絵を貼りつける”特別な本”と、
スーツケースから得た”黒い絵本”を取り出してみました。
特別な本は、まめぴよが雲に包まれたり、風に運ばれページを進んだ分、
貼った覚えのない切り絵が増えています。
そして、黒い絵本も、めくれるページは増えていました。
いちばん新しくめくれるページには、楽しそうな村人とゆずが描かれていました。
まめぴよ「これは、おまつり、かな……?」
ゆず「まめぴよ!来てくれたんだね!!」
ゆずがうれしそうに樹の上にのぼってきました。
まめぴよは、あわてて本をカバンにしまいました。
ゆず「今日は、待ちに待ったお祭りだよ!」
祭り
祭りでは、村人たちが笛や太鼓でお囃子を演奏しました。
面をつけた村の子どもたちが、そのお囃子に合わせて踊りました。
その子どもたちの中には、もちろん、ゆずもいました。
まめぴよは、楽しそうな村人たちと、ゆずを見て、
うれしさからか胸のあたりが熱くなるのを感じました。
まめぴよ「みんな、とってもしあわせそうだ。」
甘酒
村人「さぁさぁ、キミもいかがかな?この村で作った米でつくった甘酒だよ。」
まめぴよは、樹から降り、甘酒を受け取りました。
まめぴよ「ありがとうございます。」
村人「熱いから、気をつけてね。」
まめぴよは、大きなご神木の下で甘酒をすすりました。
午後になり、少し肌寒くなる時間のせいなのか、
アツアツの甘酒は、村人たちのやさしい心が、いっそうしみ入る気がしました。
そして、祭りが終わり、片づけを追え終え
村人たちは家々に帰っていきました。
ゆずが走り寄ってきて、まめぴよに言いました。
ゆず「ねぇ、まめぴよ!ぼくの踊り、観てくれた?」
まめぴよ「うん、しっかり観たよ!じょうずになったね!」
ゆず「でしょう?みんなでたくさん練習したんだよ!」
まめぴよ「うん。とっても、よかったよ!」
すると、境内の葉っぱを巻き上げながらつむじ風が迫ってきて
この時もまた、まめぴよを包むと、空へ消えていきました。