100日曼荼羅アート 94日目-鳥船
☆現在、まめぴよが迷い込んでいる物語
【古事記】
現存する日本最古の歴史書とされている書物。上・中・下の全3巻からなる。
和銅5年に太安万侶が編纂して、元明天皇へ献上された。
(青空文庫・現代語訳 古事記)
・・・そんな最古の書物に迷い込んだまめぴよは、どんな出会いをしていくのか……?
まめぴよはアレンジ&簡潔にしてしまった古事記を旅して進んでいきますので、ぜひ、現代語訳古事記の本自体を、お手に取ってみてくださいね!なるほども、残酷も、さまざまでたいへん興味深い内容でいっぱいです、ぜひ!
現代語古事記
【94日目】100日旅するまめぴよ 「古事記-14」国譲り2
イカヅチ
目を覚ますと、そこは出雲の国の浜辺でした。
今日の海は、荒々しい風が吹き、高い波が立っています。
まめぴよ「よかった!出雲の国にやってこれた!大国主さんはどこにいるだろう?」
まめぴよは、前のページで聞いたことを、大国主へ伝えようと思っていました。
大国主を探しに行こうとしたところ、
突然に、海にイカヅチが落ちたような、激しい光が走り、突風が起こりました。
まめぴよ「うわぁ、まぶしい!!」
突風に吹きとばされ、まめぴよは浜辺をコロコロと転がりました。
建御雷神たけみかづちのかみと天鳥船神あめのとりふね
すると、大きな光と突風に驚いた大国主が、浜辺へやってきました。
大国主「まめぴよか??大丈夫か!いったいなにごとじゃ!」
まめぴよ「あ、大国主さん。海のほうが突然に光って……。」
海のほうへ目をやると、光の中から現れたのは、
長い剣を逆さにして波の上に刺し、
そのうえにあぐらをかいた、たいへん力強そうな武神・建御雷神。
そして、神の乗る船の神・天鳥船神の姿でした。
まめぴよは、たいへん不思議なスタイルで現れた武神を恐ろしく感じ、
大国主のうしろに隠れました。
タケミカヅチ「我は建御雷神。天照大神、タカムスビの神の命を受けてやって参った。あなたの治める葦原中国(地上世界)は、我が御子の知らすべき国であると御命令がありました。さて、あなたのお心は?」
タケミカヅチは、非常に強力な武神で
いままでやってきた刺客のようには、いかなそうでした。
大国主は、うーんと悩みこみ、答えました。
大国主「私が答えることはできません。息子の事代主神が、美保ヶ崎へ鳥や魚の猟をしに行ったまま、帰ってきませんので……。」
と、そう聞くやいなや、
天鳥船神は、ひとっとびで事代主神のもとへ飛び、答えを持ってきました。
鳥船「あなたの御子は、仰せの通り献上いたします、と言ってお隠れになってしまいましたが、他に、ことを申すすべき御子は、いらっしゃいますか?」
大国主「私には、もうひとり、建御名方神があります。これ以外にはございません。」
建御名方神たけみなかたのかみ
そこへ、力自慢の建御名方神がやってきました。
建御名方「誰やつだ、我の国にて、コソコソと!言いたいことがあるならば、力で申せ!」
と、建御名方神はタケミカヅチの腕をつかみ投げようとすると、
その腕は氷のようにも剣のようにも変化し、ふりほどかれて、
タケミカヅチは、建御名方神の腕を若いアシを掴むかのように握りつぶしながら放り投げました。
建御名方神は、タケミカヅチのあまりの強さに恐れ逃げたので、タケミカヅチは、それを追いました。
そして、信濃の国の諏訪の湖に追いつめられ、殺されそうになり、言いました。
建御名方神「恐れ多いことでございます。どうかお殺しなさるな。わたくしめは、この土地(諏訪の湖)から出ることはありません。大国主である父上に、背くことはありません。葦原中国は神の御子のおっしゃるとおり献上いたしましょう。」
国譲り
そして、タケミカヅチは、大国主のいる浜辺へ戻ってきて言いました。
タケミカヅチ「あなたの御子神お二方は、天の神の御子の仰せに背きませんと申しました。あなたの御心は?」
大国主「わたくしの子らの申した通り、わたくしも背きません。我らの葦原中国、仰せの通り献上いたしましょう。」
まめぴよは、大国主のすそをギュッと引っ張り、言いました。
まめぴよ「大国主さん…、やくそくが。。。」
大国主は、まめぴよの顔を見下ろし、ニッと笑い、うなづきました。
大国主「ただし、条件がございます。宮柱を太く立て、大空に高くそびえる立派な宮殿をお建てください。さすれば、私はそこへこもりましょう。そして、葦原中国にある私の八百万の神々のことは、我が子の事代主神が統率すれば、背くものはないでしょう。」
タケミカヅチ「よろしいでしょう。国はお譲りいただきますが、天の神々は、あなた方の御心はお守りいたします。」
と、タケミカヅチは去っていきました。
タケミカヅチが去り、その砂浜の足跡の上には、切り絵が落ちていました。
まめぴよ「・・・この国の、文化や信仰は守られるっていうことかな?」
まめぴよは、静かに切り絵を拾いました。
切り絵を拾ったまめぴよは、大国主のそばに戻りました。
まめぴよ「スサノヲさんとの約束の、大きな宮殿に住めるね。」
大国主「あぁ、そうだな。」
少し寂しそうに、大国主は笑いました。
大国主「この国の者たちが、しあわせに生きていけることを、ただ祈っているよ。」
大国主は、そっとまめぴよの肩を押しました。
まめぴよは、コクリとうなずき、
切り絵を新しいページに貼りつけました。